ロイヤル・アスコット

hrkue2006-06-24

一度は見てみたいと以前から思っていたロイヤル・アスコットに行ってきた。ロイヤル・アスコットは6月の下旬に4日間開催される王室主催の競馬。お帽子を被って正装した女性やモーニングにシルクハットで決めた男性が集まるというとてもイギリスらしいイベントだ。アスコットはここから車で1時間くらいのところにある。

席によって入場料とドレスコードが違う。
まずロイヤルエンクロージャーという席は一般には売り出されず、ドレスコードも厳しい。
女性は正装。お帽子はマスト。ストラップレスのドレスは不可。お腹の部分が見える服は不可。パンツスーツの場合は上下揃いでないとダメ。
男性は黒かグレーのモーニングにベスト着用。シルクハットもマスト。
一般人が買える一番高い席はジェネラルアドミッションという席で58ポンド。
女性はスマートな服装。義務ではないが、多くの人は帽子を被っている。
男性はネクタイ着用。スーツかジャケットが望ましい。ジーンズ、Tシャツ、単パン、スポーツカジュアルは不可。

スタンド席に入れて、パドックも見られるのはここまで。
その下はシルバーリングという席で20ポンド。スタンドの隣の芝生部分で直線コースに面している。
そのさらに下はヒースという当日買える席で、確か10ポンド以下。コースの内側、スタンドの反対側。
スマートな服装を勧めるが、正式なドレスコードはなし。上半身裸は不可。(あ、あたりまえじゃん!)

レースは2時半からだが、12時までに来たほうがよい、11時からは渋滞、とHP書いてあったので10時半ごろ着くように出かけた。

競馬場の正面の道に着くと、歩いているほとんどの女性がお帽子を被っており、男性は最低スーツ、シルクハットにモーニングがあたりまえ!ちょっとこぎれいな格好をしてきただけの私はかなりビビる。

私はシルバーリングのチケットを買っていったのだが、さすがにシルクハットにモーニング、という人はほとんどおらず、多少ほっとする。それでもほとんどの人が帽子を被っており、男性はスーツが多かった。20ポンドもするのだから席くらいあるのかと思ったら、中に入ってみると、芝生しかなかった。あとはバーのテーブルとイスがちらほらあるくらい。うしろの方に屋根のあるところが設けられているが、芝生がひいてあるのみ。11時くらいだとさすがにまだ人も少なかったので、テーブルとイスをゲットして、コース横に陣取った。シルバーリングは直線コースの真横で見ることができ、馬が走るのを1-2m以内のポジションで見ることができる。が、それもほんの3%程度の人だけじゃなかろうか。2時くらいに後ろを振り返ってみると、芝生の上は人でぎゅうぎゅう。半分以上の人は馬も画面も見えないんじゃなかろうかという感じだった。

2時には女王が馬車で入場。開催中の4日間は毎日ウィンザー城から馬車でやってくるらしい。長ーい芝生の直線コースの彼方から馬車行列がやってきた。屋根のないオープンの馬車だ。コース際で見ていたので、10mくらいの距離で女王を見ることができた。この時ばかりはコース横に人も殺到してカメラを向けており、女王の人気の高さが感じられた。

2時半にレース開始で全部で5レース。最大29頭の馬が1レースに走った。第一レースは”Nakamura Chikusan”生まれの馬にかけてみるがハズレ。第2レースもハズレ。馬券売り場が入り口近くで、芝一杯に広がる酔っ払いの人ごみをかき分けて買いに行くのがめんどくさくなって、その後は馬券は買わずにレースだけ観戦した。芝生の直線コースを29頭もの馬が疾走していくのを目の前で見るのはなんとも爽快。

ドレスコードのないシルバーリングとはいえ、女性の多くは帽子を被ってドレスアップしており、男性もスーツが多かったので、最初はおおーと思ったが、レースが始まる頃になると皆ただの酔っ払いと化していた。要はみんなドレスアップして、外で集まって飲みに来るのが楽しいだけという気がする。レースの度にコース脇まで見に来るのは全体の比率から行ったら10%以下。半数以上はレースも見てないんじゃないかと思う。右から左から”…f○○king…”と聞こえてくるし、着飾ってはいてもここはやっぱり普通のイギリス庶民の席だったのだ。1日の終わりには芝生の上もゴミだらけだった。ゴミ箱も普通においてあるのだが。レースが全て終了後、挙句の果てには全裸になってダッシュしている男性の姿が・・・・。皆大喜び。警察官が来て注意すると皆でブーイング。誰だ?イギリスが紳士淑女の国と言ったのは?

 
競馬場から駅、駐車場まで歩く間、店から流れてくる音楽にあわせて踊りながら歩いている人多し。若者に限らずおばさんもだ。中にはおじさんに手を引かれて歩く千鳥足のおばさんも。大体の庶民は朝来た時と違って帰りは着衣に乱れが・・・。ストールがズレ落ちていたり、帽子をフリスビーにして遊んでみたり。サンダルを脱いで芝生を歩く女性も多し。それとは対照的だったのは、スタンド席にいたであろうシルクハットの紳士方とスーツにお帽子の淑女の方々。帰りも着衣に乱れなし、朝来たときと同じ状態で、整然と列になって駐車場に歩いていかれたのでした。中にはシルクハットを被った中学生くらいの男の子も。こうして階級は受け継がれていくのね、と妙に納得。

いろいろな「イギリスらしさ」を観察できるおもしろいイベントでした。